マイホームをご購入するときには、不動産購入代金、仲介手数料、新築の場合は建物新築費用、中古物件をリフォームする場合はリフォーム費用がかかるのは当たり前。でも、それ以外に様々な諸経費がかかります。諸経費の中で高額になりがちなもののひとつが「不動産登記費用」。高額になりがちといっても、それでも適正価格である場合と、残念ながらそうでない場合があります。不動産登記費用の見積もりを受け取って、「あれ?」と思われた方向けに、司法書士に支払う不動産登記費用について解説いたします。
1.司法書士に支払う不動産登記費用の内訳
不動産登記費用は、新築か中古か、住宅ローンを組むか否か、組むなら借入金額はいくらか、中古なら築年数が古いか否かと、不動産の評価額によって異なります。あと、新築の場合は土地家屋調査士に建物表題登記費用を支払います。中古物件の場合は建物表題登記は通常は不要です。
以下には、司法書士に支払う不動産登記費用について書きます。
マイホームを購入した場合、それが新築でも中古でも、マンションでも戸建てでも、司法書士に不動産登記費用を支払うことになります。この金額は ①登記にかかる税金(登録免許税) ②司法書士報酬 ③その他経費 の合計額です。マイホーム購入の場合は①と②が大半を占めます。①は特に住宅ローンを組んで戸建ての土地を購入する場合は高額になりがちで、どの司法書士が登記しても同額となります。 ③も、どの司法書士が登記してもさほど金額の差はありません。
それに対し、②は司法書士によって金額が異なります。司法書士報酬は自由報酬だからです。どのくらいの報酬が適正価格なのかは、内容(住宅ローンを組むか否か、中古なら築年数はどのくらいか)によって変わります。日本司法書士会連合会のホームページに司法書士報酬のアンケート結果が公開されており、これが最も信頼できる情報だと思います。(https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/)
2.司法書士報酬があまりにも高い! その理由は… 「キックバック」の場合がある
司法書士報酬があまりにも高い、その理由は1つではありません。が…、お客様から頂戴した司法書士報酬の一部を、紹介料として不動産業者にキックバックしている司法書士が存在するのです。 司法書士はこのようなキックバックをすることを司法書士法や司法書士会則により禁じられており(不当嘱託誘致の禁止、倫理違反、会則違反)、懲戒事由にあたります。 不動産業者のほうは司法書士に対してキックバックを要求することは宅建業法違反ではないそうなのですが、司法書士がキックバックを禁じられていることを知ってて不動産業者がキックバックを要求することは、コンプライアンス上問題がないとは言えないと思います。その金額が1~2万円程度ではなく中には5万10万の場合もあるそうですから、そうなると悪質と言われても仕方ないと思います。一方、キックバックが明るみになって懲戒により業務停止になった司法書士もたまにいますが、大半のキックバックは「バレない」のが残念なことではありますが現実です。
3.司法書士を変更できるか? できる(はず)、ですが…
それでは、不動産業者が紹介した司法書士の報酬があまりにも高い場合、(自分の知り合いなどの)他の司法書士に変更してもらうようお願いすることができるか。答えは、「できる(はず)」です。そもそも司法書士報酬が高くなくても、司法書士を選ぶ権利があるのは不動産業者ではなく、マイホーム購入者のほうです。不動産業者は司法書士を紹介することはできても、決定権はないはずなのです。ところが、司法書士の変更を不動産業者に申し出たら、「変更できません。」と言ってくる場合が少なからずあります。なぜそんなことを言うのか。いろいろ理由をつけてきますが、結局のところ、もし司法書士を変更したら自分が(場合によっては自分が勤務している会社が)司法書士からキックバックを受けることはできないから、としか考えられない場合がほとんどです。
私も勤務時代にマイホームを購入される方から登記費用のご相談を受けて、登記費用を計算したら明らかに相場よりも高額で、そのことをご相談者様にお伝えして「先生にお願いします」と言われたことが数回あります。それで私に変更になったか?その勝率は3~4割くらいでした。残りの6~7割程度は、不動産業者がどうしてもダメと言って司法書士の変更はできず。幸いなことに、司法書士報酬を3万~5万円程度減額することはできました。たいていのご相談者様はマイホーム購入にあたって今まで問題なく仕事をしていた、特に新築の場合はこれからもメンテナンス等でおつきあいが続く不動産業者と、司法書士報酬が多少高いからと言っていざこざを起こすことが自分たちにとってトータルでメリットがあることなのだろうか、と悩まれるのです。奥様は納得していないけれどもご主人が「仕方ない、あきらめましょう」と仰ったことがありました。そのことが今でも忘れられません。
4.その登記費用が高すぎるかどうか、私が計算します